2011年02月10日

「テトぐるみ」の販売再開のお知らせ

テトぐるみの群体

「テトぐるみ」とは、上記写真の消波ブロックのぬいぐるみのことです。
消波ブロックの造形が魅力的であるということを、圧倒的な説得力で証明してみせた作品です。
諸事情により、その販売は長く中止されていましたが、この度、再開することになりました。
「テトぐるみ」帰ってきました: テトぐるみ|公式ブログ
今回はその報告とともに、「テトぐるみ」に関する騒動について説明したいと思います。

大山顕さんは、私が以前公開していたテトラポッドのペーパークラフトを加工し、「手のりポッド」と名付け、私に無断で自作としてデイリーポータルZに掲載しました。
バドンさんと共同製作者の御二人は、そうとは知らずに大山さんの許可を取り、「手のりポッド」を元に作成した型紙を使用して、「テトぐるみ」を製作されました。
大山さんの盗作行為の発覚後、「テトぐるみ」もまた盗作だと誤解されることがあるのですが、私自身は「テトぐるみ」を盗作だとは思っていません。
この件については、1年前の2010年1月22日にも記事を書きました。
「手のりポッド」「テトぐるみ」について
一部引用いたしますので、長くなりますが、御覧でない方は一度目を通してみてください。
テトぐるみ(※Internet Archive)」の記事や、トロステーションでの動画を御覧になった方は、「テトぐるみ」は大山さんを加えた三人で創られたと思われていることでしょう。
私もそう思っていました。
記事中では、途中から作者視点の一人称の文章に変わり、筆者である大山さんも作者の一人であると解釈されかねない文章構造になっています。
だから100個作った。
カッとなってやった。後悔はしていない。と思う。でも100個となるとたいへんなのだよ、作るの!ほんとに!好きで勝手に作っておいてこんな強調するのもなんですが!
動画の中では、はっきりと作者として大山さんが紹介されています。
そこが気になっていたので質問したのですが、大山さんは「テトぐるみ」の製作には直接関わっておらず、大山さんの「手のりポッド」を型紙に転用しただけだということが確認できました。
トロステーションの動画(3:00あたり)の中で、大山さんは以下のような発言をしています。
テトラのペーパークラフトを作ってみたんです
そして、みんなが作ってくれたらいいなと思い
その型紙をネットで公開したんですよ
(中略)
そして、このテトラの型紙を通じてステキな話が生まれたんです
ドボクを愛好する友人の○○さんと□□さんという方と話していた時に
テトラでクッションを作ったらおもしろいんじゃないかという話になったんですよ
(中略)
このとき「チームテトラ」が結成されました
まるで三人の会話の中から「テトぐるみ」のアイデアが生まれたかのような表現をされていますが、「消波ブロックのぬいぐるみ」というアイデアは、作者の御一人が以前から温めていたもので、2007年6月にWeb上にそのアイデアを書き込んでいたのを、私は知っています。
大山さんの「手のりポッド(※Internet Archive)」の記事が2008年2月ですので、それよりも以前のことです。
「テトぐるみ」は「手のりポッド」の型紙を転用することで実現することができましたが、あくまでもアイデアが先行していました。
試作や材料の選定、業者の決定も御二人でされました。
大山さんには、「手のりポッド」を型紙に利用したことを、試作を見せて報告されたそうです。
そして、インテリアショップで撮影する段階で、写真家でもある大山さんに撮影を御願いしたところ、デイリーポータルZでの紹介の提案を受けたそうです。
では、「テトぐるみ」の型紙に、私のペーパークラフトには無い、大山さんのオリジナルの要素があったのでしょうか?
たしかに、「手のりポッド」の接合方法については、大山さんのオリジナルの要素がありました。
しかし、「テトぐるみ」の型紙は、「手のりポッド」ののりしろ部分を排除して作られたものです。
型紙の内、コウモリ形の部分は私が作図したものですし、円形部分はコウモリ形の円弧部分の長さから自動的に求まる大きさなのです。
私のペーパークラフトを元にしていたとしても、同じ答えに行き着いたことでしょう。
私は、「テトぐるみ」の型紙に、大山さんのオリジナルの要素は無いと判断しています。
「テトぐるみ」は御二人の作品であって、結果として私は間接的に御手伝いした、というのが正しい表現ではないでしょうか。

御二人は、本当にただ消波ブロックが好きで、「テトぐるみ」を創られました。
「ぬいぐるみなら、ぶつかっても痛くないし、身近に感じてもらえる。」「コンクリートで作っている人(※おそらく、この商品のことだと思います。)がいるのは知っていたので、他の人と同じことはしたくなかった。」そんなことを仰っていました。
そして、GIGAZINEの記事のことを話し、「"盗作"なんて呼ばれるようなことを、私たちはしていたのだろうか。」と嘆かれていました。
後述しますが、読者が「手のりポッド」を組み立てたり、「手のりポッド」から新たな創作を生み出すということを、私はそもそも問題にしていませんでした。
「テトぐるみ」が盗作と見なされているのは、その製作に、「手のりポッド」を自作として公開していた大山さんも関わっていると思われているからです。
御二人も、「手のりポッド」は大山さんが創られたと思っていましたから、「テトぐるみ」を「三人の作品」とされることに異論はなかったのでしょう。
結果として、大山さんは「テトぐるみ」の作者のフリをしていただけで、それは、私のペーパークラフトに対するものと同様の行為です。
大山さんが本当にすべきことは、御二人と私を引き合わせることだったと思います。

私は、大山さんと話を進めていく中で、確信こそできませんでしたが、御二人に不正が無いと感じるようになりました。
そして、大山さんとの話し合いが解決した際には、御二人に型紙の配布を正式に許可しようと考えるようになりました。
実際、話し合いはまだ解決していませんが、これ以上御二人に迷惑をかけられないと、今回の電話よりも以前、2009年11月に、メールで御二人にそういった提案をさせていただきました。
今回、電話で直接御話させていただき、そのひととなりを知り、改めて、御二人が「テトぐるみ」の型紙を配布することを、過去にさかのぼって許可したいと思います。
ただし、これは御二人に許可するという意味で、大山さんが私に無断で御二人に許可をしたことを許す、という意味ではありません。
問題のある行動をしたのは大山さんであって、御二人はその大山さんに対して、ちゃんと報告をされていました。
当時、もし私が同様の報告を受けていたら、やはり御二人に配布を許可していたと思います。
御二人が創られた「テトぐるみ」という作品自体は、盗作と呼ばれるようなものではないと、私は判断しています。

「テトぐるみ」が盗作だと勘違いされたのは、大山さんの言動により、大山さんも「テトぐるみ」の製作に参加していたと誤解されているからです。
しかし、大山さんは製作には関わっておらず、「テトぐるみ」の作者のフリをしていただけでした。
それは、私のペーパークラフトに対するものと同様の行為で、バドンさんたちもまた、大山さんによって盗作の被害にあった被害者なのです。
私は過去にさかのぼって、御二人が型紙を使用し、配布することを許可したいと思います。
「テトぐるみ」という作品は、盗作と呼ばれるようなものではありません。


2年前、「テトぐるみ」の存在を知ったとき、私は複雑な気持ちになりました。
当時はまだ状況がつかめていませんでしたから、バドンさんたちを疑う気持ちもありましたが、それとは別に、「テトぐるみ」をすばらしいとも感じていたからです。
学生の頃、私は「消波ブロックのある部屋」をイラストにしたことがあるのですが、周囲の理解を得るものではありませんでした。
「テトぐるみ」は、その夢を現実的な方法で実現しただけでなく、消波ブロックに興味がなかった人たちにまで、その魅力を伝えることに成功していました。
よくされる喩えでもありますが、「ものをつくる」ことは「子供を産む」ことに似ていると思います。
その喩えで言えば、「テトぐるみ」は私にとって、知らぬ間に生まれていた孫のようなものでした。
それも、そうとうできのいい孫です。
複雑ながら、それでも可愛く思えますし、できることなら生かしておきたいと思います。
しかし、一年前に話したときには、バドンさんはすっかり販売の再開をあきらめていました。
その立場に立って考えれば、その気持ちもわかります。
それでも、「テトぐるみ」という作品をどうしても残したくて、「「テトぐるみ」の型紙」の公開を提案し、許可していただきました。

そして、去年末のことです、販売を再開したいと、その許可をして欲しいと連絡がありました。
それと言うのも、この1年の間に多くの方から販売再開の要望があったそうなのです。
そして、その声に応えたいと思えるようになったそうです。
しばらく考える時間をもらって、次に連絡を取ったときには、キチンと話しを通した方がいいという判断から、消波ブロックのメーカー様にも既に連絡を済ませていました。
正式なライセンスには至りませんでしたが、販売再開については御理解いただけたそうです。
それを聞いて、私も販売再開を許可することにしました。
私達にできるベストの答えにたどり着けたのだと思います。
待っていてくれた方に返すことができることを、私も嬉しく思います。

ということで、「テトぐるみ」の販売が再開されました。
新しく製作する分については、私にも利益が発生することになっています。
詳しくは、下記ページを御覧ください。
「テトぐるみ」帰ってきました: テトぐるみ|公式ブログ

販売店については、下記ページを御覧ください。
全国の「テトぐるみ」販売店

(2011.05.21 追記)
メーカー様の御配慮により「テトぐるみ」の販売が再開され、型紙原型を製作した私にも利益が発生することとなりました。
以前はオリジナルへの敬意を示す意味もあり、「テトぐるみ」の元となった消波ブロックの名称を明記しておりましたが、私自身の立場の変化により、そのことが消波ブロックの名称を利用していることにもなっていました。
この点について、メーカー様と相談した上で、「テトぐるみ」を説明する際には具体的な名称を記載しない形で記述することにしました。
「テトぐるみ」はそもそもがオリジナルへの敬意のもとに生まれたものであり、その製作に関わった者の想いは今も変わりません。

(2012.03.12 追記)
3/31のジュンク堂新宿店の閉店にともない、新宿店での販売は既に終了しております。
(※池袋店での販売は継続中。)
また、「テトぐるみ」を販売する御店は、実店舗・Web通販ともに増えてきております。
記事の当時とは異なる部分があり、混乱を招きかねませんので、該当箇所は削除し、販売店をリスト化した記事へのリンクを追加しました。
●「告知」の最新記事
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posted by Mcguffin at 16:29 | Comment(5) | TrackBack(1) | 告知 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わざわざお知らせくださりありがとうございます。
このテトぐるみの写真をみていいなと思ったのが作ってみたきっかけので、販売再開うれしく思います。
たくさんの人にかわいがってもらえますように!
Posted by eoma at 2011年02月13日 12:12
eomaさん、コメントありがとうございます。

型紙配布のページで、「テトぐるみ」の魅力を伝えるこちができたのは、eomaさんのおかげです。
ありがとうございました。

「テトぐるみ」を好きになってくれた人から、結果的に奪うかたちになっていましたが、これでちゃんと返すことができて、ほっとしています。
販売と型紙の公開を通して、多くの方に楽しんでいただけることを、心から望みます。
ありがとうございました。
Posted by Mcguffin at 2011年02月13日 19:32
こんばんは こちらでテトぐるみのことを知り、先日自分で作ったばかりです。既製品のようにうまくはできなかったですがいろんな大きさで作って楽しむことが出来たので、ブログで紹介させていただきました。かわいいテトラがいろんな人にかわいがってもらえますように。
Posted by ryang at 2011年02月13日 21:21
再販のお知らせの記事をトラックバックさせていただきました。
Posted by ryang at 2011年02月13日 21:51
ryangさん、コメント・トラックバックありがとうございます。

「テトぐるみ」は、本質的にはバドンさんたちの作品で、私は間接的に製作を手伝いました。
以前は、型紙の配布もバドンさんたちがされていましたが、記事中にあるとおりいろいろあったなかで、現在は私が公開するかたちになっています。
商品としても販売していますが、もっと広く皆さんに楽しんで欲しいという思いから、型紙を公開されたのだと思いますし、私もその姿勢に共感してのことでした。
いろんなサイズで「テトぐるみ」を作っていただいたこと、バドンさんたちも喜んでおられると思います。

「テトラポッドのぬいぐるみ」というアイデアも、ペーパークラフトを型紙にした発想もすごいと思うのですが、それ以上にバドンさんたちのすごいところは、アイデアだけで終わらず、かたちにしてみせたことだと思っています。
「コロンブスの卵」の喩えのように、誰もしなかったことにチャレンジをして結果を出すということは、容易ではありません。
そしてその結果、「テトぐるみ」の写真のその出来上がりに安心して、皆さん「私も作ってみよう。」と製作作業に取りかかれるわけですから。

紹介していただけたことで、また、より多くの方を楽しんでいただけることを、嬉しく思います。
ありがとうございました。
Posted by Mcguffin at 2011年02月14日 00:09
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テトぐるみ再販だそうです
Excerpt: 寒くて釣りに行かない間、ぬいぐるみなどを作っていました。 テトラポッド型のぬいぐるみについては紹介のとおりです。 そもそも、海辺でテトラの上を走る猫がかわいくてテトラに住む猫をググっていったところ ..
Weblog: ツケモノニッキ
Tracked: 2011-02-14 00:26